《免許制度コラム(最終回)》【第4回】事故、重大インシデントについて
免許制度コラム【第4回】事故、重大インシデントについて
登録講習機関に通うと、最後に修了審査を行い、合格することで修了証が発行されます。
修了審査は大きく5つのブロックに分かれて行います。
1,机上審査
2,口述審査①(飛行前点検)
3,実地審査
4,口述審査②(飛行後点検)
5,口述審査③(事故、重大インシデントの報告及びその対応)
それぞれの内容を全4回に分けて説明しております。第4回目である最終回の今回は「5,口述審査③(事故、重大インシデントの報告及びその対応)」について概略の説明をさせていただきます。
事故、重大インシデントの報告及びその対応に関する口述審査は、「事故、重大インシデント発生時の報告と対応について、適切に行うことが出来るかどうかを判定」が目的となり、
・事故又は重大インシデントの説明
・事故等発生時の処置の説明
を各1問づつ出題します。採点基準は、回答に抜け又は誤りがあった場合、5点の減点となります。これだけを聞くといまいち内容が見えてきませんので、それぞれ説明していきたいと思います。
事故又は重大インシデントの説明
まず『インシデント』とは、直訳だと”事件、出来事”となりますが、航空法第132条の91では『事故が発生するおそれがあると認められる事態』と定義されております。
第132条の91
無人航空機を飛行させる者は、飛行中航空機との衝突又は接触のおそれがあつたと認めたときその他前条第一項各号に掲げる事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
つまり、「事故、重大インシデントの説明」とは、『事故や、事故が発生するおそれがあると認められる事態の説明』と言い換えることが出来ます。
では、無人航空機における『事故』や『重大インシデント』とはどのような内容かというと、下記のように定義されています。
事故
- 無人航空機による人の死傷
- 無人航空機による物件の損壊
- 航空機との衝突又は接触
重大インシデント
- 飛行中航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めたとき
- 無人航空機による人の負傷
- 無人航空機の制御が不能となった事態
- 無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る。)
無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領(令和4年11月4日制定)
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001520661.pdf
つまり、事故又は重大インシデントの説明を求める審査では、上記の内容を聞く質問がされますので、事故も重大インシデントも理解しておくようにしましょう。
事故等発生時の処置の説明
ここでは、事故等が発生した際の適切な処置について理解しているかどうかを判定可能な質問を行います。(ここでいう『事故等』とは、上記の事故及び重大インシデントの双方を指します)
質問の内容を明示することは出来ませんが、ざっくりいうと『無人航空機の事故等の事例を挙げた後、その事例の際の操縦者の対応』を答えてもらいます。
そして、事故等の措置として覚えてほしいワードとして『救護・通報・報告』というものがあります。
詳しくは下記リンクの3.定義(4)救護義務以降、9ページまでを理解しておくようにしましょう。
無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領(令和4年11月4日制定)
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001520661.pdf
第2回の説明の際にも記載したのですが、ドローンは飛んでいる以上、「墜落」という危険性(リスク)と常に隣り合わせという考えがあります。飛んでいるものはいつか必ず落ちるため、絶対安全(リスクがゼロ)は存在しません。
過去の事故事例として、国土交通省が発行している無人航空機に係る事故トラブル等の一覧には下記のような事故内容が掲載されています。
発生日:2021/8/26
https://www.mlit.go.jp/common/001408112.pdf
飛行させた者又は所属団体等:個人
飛行場所:福島県福島市
機体:DJI社製 MAVIC AIR 2
事案概要:空撮のため無人航空機を飛行させていたところ、突風により機体が煽られた後、電波ロストが発生し墜落。機体を紛失した。
ドローンを運航する上での「安全」という『社会が許容可能なリスクレベルにリスクを抑え込んだ状態を保持し続けている状態』の条件の一つとして、『操縦者は、事故等が発生した際の対応を理解していて実施出来る状態』が挙げられます。
国も審査項目にするほど、事故等が発生した際の対応を操縦者に求めています。逆をいうと事故等が発生した際の対応を理解している人に、二等無人航空機操縦者技能証明を所有してほしいという考えが読み取れますので理解を深めましょう。
全4回でお送りしました免許制度コラムですが、今回で最後となります。
事故等が発生した際の対応はもちろん、各修了審査に対する対策を受講時に詳しく説明をしていますので、無人航空機操縦者技能証明の取得ルートとして、是非、福島ドローンスクールをご利用いただければと思います。
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二等無人航空機操縦士講習ですが、おかげさまで4月の講習も満員御礼となっております。
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