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【重要な知識と技術】事故から学ぶ安全運用

安定性・機動力の高いドローンは、大人から子供まで比較的手軽に操作可能な空飛ぶカメラです。「空の産業革命」とも言われるこの技術は、近年ではその利便性から農薬散布や、超高齢化社会への対策として物流にも利用が始まっています。

一昔前まで、上空からの空撮は、ヘリをチャーターするなど手間ひまがかかるものでしたが、ドローンの普及により一気に身近になりました。それは消防・自衛隊の災害活用にも顕著に現れています。

阿武隈川で水難事故を想定した救助訓練 郡山消防署
福島 NEWS WEB 06月08日 12時50分
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20230608/6050022903.html

総務省消防庁によると、令和4年4月時点で、全国429消防本部(59.3%)ドローン導入している状況とのこと。
当スクールも、2019年10月に甚大な水害をもたらした台風19号の被害調査では、その有用性が高く評価され、特に郡山市は10名近い民間資格保有者と1名の国家資格保有者を育成。最新型の産業用ドローン導入に至っています。

こういった動きは非常に嬉しいことですが、ドローンの普及に伴い事故報道も見かけるようになりました。

【新潟】糸魚川市消防本部、強風でドローン喪失・新潟
 新潟日報 デジタル+ 2022/12/9 12:30
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/148958

【長崎】災害ドローンが訓練中に墜落 佐世保市消防局 照明破損も、けが人なし
 長崎新聞 2023/07/15
https://nordot.app/1052768721513103938

【石川】消防の災害ドローン 進む導入 浮かぶ課題
県内、15基運用 知識不足、事故相次ぐ
中日新聞 2023年3月23日 05時05分 (3月23日 11時13分更新))
https://www.chunichi.co.jp/article/658549

【大分】陸上自衛隊がドローン紛失「偵察訓練中 風にあおられ操縦不能」 大分 日出生台演習場
TBS NEWS DIG 2023年6月6日(火) 10:53
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/527568

こういったニュースを見るたび、やはりドローンに関する基本的な「知識不足」「技量不足」「過信」を考えてしまいます。特に風の影響によるドローン喪失・紛失は、ごく基本的な知識で回避できるものです。

県内でも多くの自治体様とお付き合いさせていただいていますが、正直「それは誰からも教わらなかったのだろうか??」と思うレベルでケアレスミスで墜落事故が起きており、ただ報道されていないだけで、度々事故の話が耳に入ります。

有事の際ほど、冷静かつ安全に飛行させる必要があり、環境確認や点検を省略して良いわけでありません。

まさにそういった時ほど、平時からどのような訓練をしていたかが出るものです。
しかし、訓練の段階から航空法違反(目視外・第三者および物件30m未満の飛行)していないか?地上風速と上空風速の違いを理解しているのか?舵打ち確認はしているのか?飛行前後の点検は実施しているのか?・・・これまでの県内の様子を見ていると、お節介ながら懸念事項は尽きません。

自治体向け講習会を行うと、緊急時に「自治体関係者が、捜索・救助の特例として航空法から除外される」ことについて、繰り返し質問を受けることがあります。

しかし普段、航空法の制限内で訓練をしている方が、いざという時に映像伝送が切れるほどの目視外飛行をする。そんなことはないでしょうか?他にも・・・

・目視外の練習をしていない方が、急に目視外飛行をするから事故になるのでは・・
・風速の重要性を知らない方が、風速5mを超えているのに確認せず離陸させてしまうのでは・・
・バッテリー残量30~40%で着陸させるクセがない方が、10%切るまで操縦して強制着陸するのでは・・
・RTHまたはGO HOMEの発動条件を知らない方が、安易にホームポイントから10~20m地点で作動させて着陸に入り水没させているのでは・・

国土交通省に平成27年~令和3年度に報告のあった事故では、742件中、全体の57.5%が操縦時間10時間以上となっており、ある程度経験を積んだ操縦者が事故を起こしているというデータもあります。

消防本部における水中ドローンの整備推進について(通知)
消防庁消防・救急課長 消防消第 116 号 令和 5 年 3 月 27 日
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/e78543d0789f4672e52ea8e359a226ae7cbe039a.pdf

嬉しいことに、水中ドローンにも波及している導入の動きですが、今後もさらに拡大していく流れの中で、その土台には安全運用の知識と技術があることを再認識したいものです。

それらを習得するため、専門のスクールで学ぶことは、事故・トラブルを防ぐ上で大切な過程であると私達は考えています。

予算が簡単に下りないから・・・と自費で受講される消防・警察関係者も増えました。毎回、有難くも複雑な思いで対応させて頂いています。

個人・趣味でドローンを使ってみたい方から、チームでドローンを運用していく団体様まで、まずはどんなことから学ぶ必要があるのか、お気軽にご相談頂ければと思います。

心が動く壮大な景色映像。思い出に残る1枚。災害時の情報収集。点検。物流。

国家資格制度とレベル4飛行の時代を迎え、ドローン業界はさらに拡大していきます。
まずは安全運用のため、確かな知識と技術を。

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